帰ってきた選手と、初めて日の丸を背負う選手。この28人が、ブラジル相手にどんな日本代表を見せてくれるのか。
11月4日、日本サッカー協会(JFA)がシンガポール遠征に臨む日本代表メンバーを発表しました。
注目は、大怪我から代表に戻ってきた南野拓実と町田浩樹。そして、初招集をつかんだ22歳のストライカー・福田師王です。
対戦相手は、11月14日のブラジルと17日のパラグアイ。復帰組と新戦力が加わる日本にとって、南米勢との2連戦は現在地を確かめる機会になります。
さらに、アジアカップ延期によって森保一監督の任期にも注目が集まっています。
今回の遠征で何を見るべきか。メンバー、試合日程、そしてチームづくりの行方を整理します。
【全28人】シンガポール遠征の招集メンバー
今回のメンバーは、GK3人、DF8人、MF/FW17人です。
GK:3人
| 選手 | 所属クラブ |
| 早川友基 | 鹿島アントラーズ |
| 小久保玲央ブライアン | シントトロイデンVV |
| 鈴木彩艶 | アストン・ヴィラ |
DF:8人
| 選手 | 所属クラブ |
| 板倉滉 | ボルシア・メンヘングラートバッハ |
| 渡辺剛 | フェイエノールト |
| 町田浩樹 | TSGホッフェンハイム |
| 伊藤洋輝 | バイエルン・ミュンヘン |
| 瀬古歩夢 | ル・アーヴルAC |
| 中野就斗 | サンフレッチェ広島 |
| 菅原由勢 | カリャリ・カルチョ |
| 鈴木淳之介 | FCコペンハーゲン |
MF/FW:17人
| 選手 | 所属クラブ |
| 伊東純也 | KRCゲンク |
| 南野拓実 | ASモナコ |
| 鎌田大地 | クリスタル・パレス |
| 坂元達裕 | コベントリー・シティ |
| 相馬勇紀 | FC町田ゼルビア |
| 小川航基 | FC町田ゼルビア |
| 前田大然 | イプスウィッチ・タウン |
| 堂安律 | アイントラハト・フランクフルト |
| 田中碧 | リーズ・ユナイテッド |
| 中村敬斗 | オリンピック・リヨン |
| 佐野海舟 | マインツ05 |
| 久保建英 | レアル・ソシエダ |
| 鈴木唯人 | SCフライブルク |
| 松木玖生 | サウサンプトンFC |
| 佐野航大 | PSVアイントホーフェン |
| 福田師王 | カールスルーエSC |
| 後藤啓介 | SCフライブルク |
※所属はメンバー発表時点。招集メンバーはJFA発表に基づきます。
南野拓実と町田浩樹が復帰。戻ってきた先に期待するもの
今回の発表で、まず心を動かされたのが南野と町田の名前でした。
2人とも左膝前十字靱帯損傷を乗り越えての代表復帰。南野は約1年ぶり、町田は1年5か月ぶりの招集となります。南野は今夏のワールドカップに選手として出場できなかった一方、メンターとしてチームに帯同していました。
ピッチに立ちたい気持ちを抱えながら、仲間を支える。その時間を経て、再び選手として代表に戻ってくる。南野がユニフォーム姿でピッチに入る瞬間には、特別な感情が湧きそうです。
ただ、試合で注目したいのは、その先です。
南野が相手の中盤と最終ラインの間でボールを受けたとき、周囲の攻撃はどう動くのか。久保や堂安らとの距離感、ゴール前に入るタイミングを見たいと思います。
町田については、守備の安定に加え、後方から攻撃を始める場面に注目です。相手のプレスを受けたときに、どこへパスを通し、味方を前進させられるか。
2人の復帰が、日本のプレーの選択肢をどれだけ増やすのか。そこに今回の楽しみがあります。
初招集の福田師王。見たいのは「代表の速さ」への対応
新戦力で最も気になるのが、福田師王です。
神村学園高校からJリーグを経ずにドイツへ渡り、今回、初めてA代表に選ばれました。高校サッカーで姿を見ていたファンにとっても、感慨深い招集ではないでしょうか。
初招集のFWには、どうしてもゴールへの期待が集まります。もちろん、代表デビュー戦で得点を決めれば最高です。
そのうえで、私は次の3つに注目しています。
①味方が前を向いた瞬間に、背後への動き出しを合わせられるか。
②強いプレッシャーを受けても、ボールを収めることができるか。
③攻撃が終わった直後のトランジション。
代表では、味方の判断も相手の寄せも速くなります。その中で周囲と呼吸が合えば、持ち味を出せる場面も増えてくるはずです。
今回の招集が、福田にとって次の扉を開くきっかけになるのか。出場時間を得たときの、一つひとつのプレーを追いたくなります。
坂元達裕の5年5か月ぶり復帰にも注目
坂元達裕の再招集も、今回の大きな見どころです。
代表復帰は2021年6月以来、実に5年5か月ぶり。所属クラブでのプレーが評価され、再び代表の競争に加わりました。
私が見たいのは、サイドでボールを受けた後の判断です。
相手を抜き切るのか。味方を使って前進するのか。相手を引きつけ、別の選手が使えるスペースを生み出すのか。
代表にはタイプの異なるアタッカーがそろっています。その中で坂元がどんな組み合わせを生むのかは、今後の選手起用を考えるうえでも興味深いポイントです。
ブラジル戦の焦点は、日本から仕掛ける時間をつくれるか
強豪相手の試合では、ついボール保持率やシュート数に目が向きます。
今回、私が確かめたいのは、日本が意図を持って相手に圧力をかけられるかという点です。2026年のワールドカップのブラジル戦ではボール保持する時間があまりにも短すぎました。
今回は、前線の選手がプレスに出たとき、中盤と最終ラインも押し上げられるか。ボールを奪った後、相手の守備が整う前に前進できるか。
前の選手だけが追いかければ、後方との間にスペースが生まれます。逆に、チーム全体が連動すれば、高い位置で攻撃を始められる可能性が高まります。
その連動を、個の力に優れる相手にも続けられるか。成功した場面と崩された場面の両方に、日本の課題が表れるはずです。
パラグアイ戦では、ゴール前をどう崩すか
パラグアイ戦で注目したいのは、相手が守備を整えた状況での攻撃です。
もし中央を固められたら、外からどう動かすのか。サイドに相手を寄せた後、中央へ入り直せるか。クロスを上げるなら、誰が、どの位置に入るのか。
ボールを回す時間が長くても、ゴールに近づけているとは限りません。
南野の動き出しや、久保・堂安らの連係、新たに加わる選手の特徴が、決定機にどう結びつくのか。ブラジル戦とは違う角度から、攻撃の完成度を確かめられる一戦になりそうです。
※ここまでの戦術面は、筆者が注目する観戦ポイントです。
アジアカップ延期で森保監督の任期はどうなる?
ピッチ外では、監督体制の行方も気になります。
AFCは11月3日、アジアカップの日程を、当初の2027年1月7日〜2月5日から、2027年12月23日〜2028年1月21日へ変更すると発表しました。新日程はFIFAの承認に付されます。
大会の延期は、代表の準備計画にも影響します。
森保監督から大岩剛監督へ引き継ぐ方針が示されている一方、延期後の任期の扱いについて、山本昌邦ナショナルチームダイレクターは会見時点で明言していません。
したがって、現段階で「今回が森保ジャパンの最後の活動になる」と決めつけることはできません。
ここからは私の考えですが、後任の名前や交代時期と併せて見たいのが、チームに何を引き継ぐのかという点です。
守備の基準、攻撃の共通理解、選手の組み合わせ。今回の2連戦で積み上げたものが、次の活動でも使える形で残るかどうか。
監督体制の調整が続く中でも、選手たちの経験を将来につなげることはできます。シンガポールでの180分には、その意味でも価値がありますね。
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